連結決算とは?作成対象になる会社や作成手順を解説

経理

企業の決算でよく聞く「連結決算」。今回は、連結決算とはどのような決算のことなのか、そして連結決算を作成しなければいけない会社やその作成手順について解説いたします。

連結決算とは何か?

ここでは日本での連結決算での変遷、そして連結決算の目的や効果などをお伝えします。

日本での連結決算の変遷

日本で連結決算が初めて義務付けられたのは、1798年3月期になります。そして、2000年3月期には証券取引法(現金融商品取引法)の改正に伴い、連結決算の情報開示を見直す変遷をたどっています。

連結決算を実施する目的

親会社が利益操作の目的で、子会社に過大な利益を計上し、また、有価証券や土地などの資産を子会社に譲渡する事例がありました。そのような意図的な粉飾により、出資者や利害関係者が投資の判断を誤らないように、グループの情報を開示するのが連結決算を実施する目的です。

連結決算で作成する財務諸表

連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュフロー計算書などが、連結決算で作成する財務諸表になります。いずれも親会社が子会社や関連会社から必要なデータを集め、親会社で連結決算の財務諸表を作成します。

連結決算を作成しなければいけない会社

上場企業のような大企業では、子会社や関連会社を持ち、同一グループとして活動しています。それらの子会社はどのような基準で同一グループとみなされるのでしょうか。ここでは、その会計基準に定めのある会社についてお伝えします。

親会社の子会社と判断される基準

子会社に該当するかは、親会社が保有する子会社の株式の割合と、一定の条件により子会社と判断されます。以下、その基準を3つご紹介します。

・株式の保有割合が50%超え
・株式の保有割合が40%~49%で、緊密者の株式や子会社の役員関係などの一定の条件に該当する場合
・株式の保有割合が0%~39%で、緊密者と他社の株式を過半数所有し、かつ役員関係などの一定の条件に該当する場合

なお、親会社が2社になることはありません。例えばA社の株式を、B社およびC社それぞれ50%ずつ保有している場合、B社およびC社は親会社でなく、両社の関連会社となるので注意が必要です。

役員関係などの一定の条件に該当する場合とは

ここでは先に述べた、一定の条件について、次の5つについて分かりやすく簡単に説明します。

・密着者、同意者の株式
他社の役員が、当該会社の株式数の過半数を所持している場合。
・役員、使用人関係
他社の役員が、当該会社の意思決定機関の構成員の過半数を占めている場合
・契約関係
他社が、当該会社の方針を支配する契約が存在する場合。
・資金関係
他会社が、当該会社の資金の過半を融資している場合
・その他の事実関係
他会社が、当該会社の意思決定機関を支配していることが推測される事実がある場合

以上、お伝えした子会社の判定基準の詳細については、「連結財務諸表に関する会計基準」を調べることをおすすめします。
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/spe-tanki_1.pdf

連結決算の作成手順

連結決算の作成は親会社と子会社の帳簿が確定した後に双方の財務諸表を合算した後、以下、記載の項目に該当する金額を算出し、親会社の帳簿の金額を調整します。
連結決算で相殺する金額を確定するため、子会社や関連会社は、親会社から指定された取引を提出し、親会社では会計システムにデータを取り込むか、エクセルなどの表計算で相殺し連結財務諸表を作成します。
ここでは、連結決算の作成において、基本となる四つの手順をお伝えします。

資本連結

親会社から子会社への投資は、連結決算では相殺されます。この親会社の処理を「資本連結」と呼びます。子会社や関連会社の「資本金」のうち、親会社の「投資有価証券」と同額になる金額を、親会社で相殺します。

・親会社の仕訳
資本金 〇〇 / 投資有価証券 〇〇

債権債務の相殺

親会社から子会社への売掛金や買掛金などの債権債務は、同一グループ内での取引のため連結財務諸表で相殺します。

・親会社の仕訳
買掛金 〇〇 (債務)/ 売掛金 〇〇 (債権)

損益取引の相殺

親会社から子会社への売上や仕入は、同一グループ内での取引のため連結財務諸表で相殺します。

・親会社の仕訳
売上 〇〇 / 売上原価 〇〇

未実現損益の消去

親会社が子会社に商品を販売し、子会社の決算期に商品が在庫として残っている場合、同一グループ内の未実現利益のため連結財務諸表で相殺します。

・親会社の仕訳
売上原価 〇〇 / 棚卸資産 〇〇

まとめ

連結決算を正しく理解して、ミスなく決算書を作成しましょう。