「経費」と「控除」の違いとは？

確定申告時や個人事業主、経営者の方はよく聞く「経費」と「控除」。今回はその違いとそれぞれ押さえておくべき基本的な知識について解説いたします。

経費とは？

確定申告の時期になると、「経費」の計上という言葉を聞くことが多いでしょう。確定申告で税金を計算し確定するには、「経費」を正しく理解する必要があります。
ここでは「経費」についてお伝えします。

「経費」は法人税などの計算で認められる費用

売上を得るために必要で、法人税などの計算に認められた費用を「経費」といいます。しかし、法人税などの計算では、「経費」と認められないものもあり、「経費」とみとめられるものを確定申告では計上することが大切です。

「経費」として認められるもの

原則として、売上に必要な費用が「経費」として認められます。以下に経費になるものをご紹介します。

・人件費
会社の固定費の中で大きなウエイトを占める人件費は、経費として認められます。人件費には、給与、賞与、退職金などがあります。

・旅費交通費
出張での移動や宿泊に要した費用は、経費として認められます。

・交際費
顧客との会食代も、条件を満たせば経費として認められます。また、冠婚葬祭の祝金や香典なども経費として認められます。

ほかにも「経費」として認められるものが数多くありますので、「経費」として認められるかは、国税庁のホームページや顧問税理士などに相談してみるとよいでしょう。

会社員の給与所得では「経費」を認められていない

給与所得では、会社の経理のように「経費」を認められていません。そのかわり、所得税では「控除」が認められています。「控除」については、次に記載しているため、そちらを参考にしてください。

控除とは？

年末調整で「控除」額を計算します。「控除」と「経費」は異なりますので、内容を理解することが大切です。ここでは、「控除」について基本的な知識をお伝えします。

「控除」は所得税の計算で認められる費用

一般的に「控除」とは、年末調整時に所得税の計算で認められる、1年間の個人に要した費用をいいます。個人が働き生活をするために要する費用を「控除」とイメージすると理解も深まります。

「控除」として認められるもの

「控除」として認められるものを、「所得控除」といいます。「所得控除」には「人的控除」と「物的控除」がありますので、以下でご説明します。

・「人的控除」
社員の配偶者や扶養家族に応じて、費用として認められる金額のことをいいます。

・「物的控除」
社員が一年間に支出した、生命保険料や社会保険料などのことをいいます。こちらは実際に支出した金額で控除額を決定します。

なお「控除」にはさまざまな規定があるため、詳細については、必要に応じて調べてみてください。

所得税額の「税額控除」とは

「控除」と混同しやすい用語に所得税額の「税額控除」があります。所得税額の「税額控除」とは、一度計算した税額から直接控除できる金額のことをいい、配当控除、外国税額控除、寄付金控除、住宅借入金控除などがあります。
他にも「税額控除」はありますので、国税庁のホームページを参考にしてください。

経営者や個人事業主が確定申告時に押さえておくべきポイント

「経費」や「控除」は税額に影響しますので、正確に計上しなければなりません。ここでは青色申告者である、経営者や個人事業主が確定申告時に押さえておくべきポイントをお伝えします。

領収書をなくさずまとめる

まず、経費の証拠となる領収書をなくさないようにしましょう。そして、領収書は日付順に並べて、出金の照合をしやすくしておきます。確定申告時にまとめて領収書の整理をすると、その整理に時間がかかりますので、なるべく月単位で整理することをおすすめします。また、クレジットカードの利用明細は、ホームページからダウンロードしたものでも利用できますので、電子データか印刷して保管するとよいでしょう。

認められない経費を把握する

次に、認められない経費を把握し、確定申告時に経費計上から除外します。特に、経費の条件を満たしていない交際費や福利厚生費は1年間で高額となる可能性があるため、それらを把握しておくことがポイントです。経費として認められるか、そうでないか判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談してみてください。

経費を上手に使いキャッシュを会社に残す

経費を使うと税金は安くなり、納税時のキャッシュは少なくなります。しかし、経費を使いすぎると、会社のキャッシュが少なくなり、資金繰りに影響します。
そのため、経費を上手に使い、適切な額のキャッシュを会社に残す工夫が必要です。
確定申告時には経費を確認しますが、適切に使われているか、キャッシュを減らす原因となっていないか、それらを確定申告時に振り返ってみることをおすすめします。

まとめ

経費と控除の違いを押さえたうえで経理業務、確定申告に生かしていきましょう。