テレワーク時にかかる交通費の実費精算と定期払い戻し

経理

テレワークが普及し、今まで定期の支給をしていたが、実際にかかった金額のみ支払う実費精算に切り替えた企業もあるのではないでしょうか。今回は経理の観点から見た、テレワーク時にかかる交通費の実費精算と定期の払い戻しについてお伝えします。

テレワーク時の定期代の支払い

テレワークの普及に伴い、通勤する機会が減少する傾向にあります。特に、交通費を定期券で支給する際は、定期券を利用していない期間の交通費も負担するため、会社としては無駄なコストが掛かっていると判断すべきかもしれません。ここでは、テレワーク時に、実際に交通費を支払った分だけを経費処理する状況についてお伝えします。

そもそも在宅勤務期間の定期代は支給するべきか

多くの会社が定期代の全額または一部負担を行っているので、在宅勤務期間でも定期代を支給するべきか、しなくてもよいのか迷うこともあるでしょう。定期代は、言うまでもなく通勤手当として一定額を支払うものです。在宅勤務により出社日が少ないケースでは、基本的には定期代の支給は不要です。

労働基準法の規制を確認

労働基準法では、定期代などの通勤手当の支払いを義務付けているわけではありません。しかし、就業規則において、「勤務体系の違いにかかわらず一定額の通勤手当を支給する」といった規定がある場合や、支給要件への言及がなく「定期代を一律支給する」といった規定がある場合は、定期代を支給する義務が生じる可能性があるので、必ず確認をしてください。

在宅勤務日数が多ければ交通費を実費で支給する

週に2回程度の在宅勤務であれば、定期代はそのままにしておいてよいでしょう。週に1回、2回など、企業の都合によって出社を求める場合は、実費を支給するのが一般的です。定期代の何割を負担しているかは、会社によって異なるため、全額負担をしているなら交通費の全額を支給する、半額負担なら半額支給するなど、従来支給しているパーセンテージを採用して支給する方法も検討してはいかがでしょうか。

実費精算へ切り替えるルールと方法

定期券を実費計算へ切り替える際は、まず、実費精算へ切り替えるルール決めが必要です。ルール決めの次に、定期券を実費精算に切り替えます。実費精算の方法は途中解約する方法と終了後に切り替える方法がありますので、それらの方法お伝えします。

まず実費精算に切り替えるルールを決める

在宅勤務に急に変更する際は、必ず就業規則の定期代の規定の見直しや変更が必要です。会社には何日以下の出社で実費精算にするのか、また、テレワーク中に交通機関を使う場合の経費精算など、想定できる項目を明確に規定しておきましょう。さらに、実費精算するタイミングなどについてもルールを決めておくと、対応にも困りません。

定期券を途中解約し実費精算に切り替える方法

定期券の有効期限内であれば、定期券の途中解約手続きにより実費精算へ切り替え可能です。この際は、解約のタイミングに注意が必要です。鉄道定期券の場合、解約は月割計算になります。そのため、定期券払い戻しは解約を申請した日の翌月となり、解約日が区切りの1日でも超えると、さらに次の月からの月割計算による定期券払い戻しになります。

定期券の終了後に実費精算に切り替える方法

定期券の終了後に実費精算に切り替える方法は、払い戻しに伴う経理処理が不要であるため、実費精算への移行もスムーズです。定期券の終了するタイミングが、テレワークを開始する時期と上手く重なれば、経費節減効果は大きいといえます。

定期の払い戻しと実費精算時の注意点

定期券の払い戻しは、経理部署の誰が行っても同じように処理できることが大切です。また、定期券を交通費として支給している場合には、給与関係のチェックも必要になります。ここでは、定期の払い戻しと実費精算時の注意点をご紹介します。

払い戻しの精算方法を明確に

交通機関によっては、定期券の有効期間が1カ月以上なければ、払い戻しはできない可能性があるため注意が必要です。また、定期券が1カ月以上残っているとしても、先にお伝えした通り、日割りではなく月割りで換算されるケースがあるため、どのような精算方法で処理したのか、明確にしておくことが大切です。

交通費の増減後は社会保険の標準報酬をチェック

定期券を交通費として支給する場合、固定報酬に変動により、条件によっては社会保険の標準報酬月額を見直す必要があります。給与が変動した月から3カ月間に支払われた給与の平均月額と、それ以前の月額とに2等級以上の差が出る場合などでは、随時改定の対象となりますので、忘れずにチェックする必要があります。

所得税に関して源泉徴収予定額の見直しをチェック

給与からは、毎月その年の予定源泉徴収額を差し引き、年末調整で実際に支払うべき所得税の計算をして精算します。年度内で定期券の払い戻しによる通勤費の変動により給与の金額が変更となる場合は、源泉徴収予定額の見直しが必要かチェックしましょう。

まとめ

テレワークが普及した今、実費精算の方が会社のコストを下げられる場合が多いので、自社の社員の働き方を確認して、個々人に合った支払方法を適用しましょう。