会計帳簿とは?種類と作成時の注意点について解説

経理

経理業務で必ず出てくる「会計帳簿」。今回は会計帳簿の基礎知識や種類などについて解説いたします。

会計帳簿とは?

ここでは会計帳簿はどのような目的で作成され、どのような根拠に基づくものなのかをお伝えします。

会計帳簿の目的

会計帳簿は、日々の取引をもれなく計上・記録し、会社のお金の流れを把握し経営改善につなぐことが目的です。また、会計帳簿を作成する大きな理由として、青色申告制度があり、会計帳簿を作成すれば65万円の特別控除を受けることがあります。

会計帳簿は法律に規定がある

会計帳簿は会社法により作成が義務付けられています。また、10年間の保存義務があります。

会計帳簿は財務諸表のもととなる帳簿

複式簿記で取引を記録し作成された会計帳簿は、財務諸表を作成するベースになります。財務諸表は、会社の経営成績を公表するものであり、税金計算のもととなり、また出資者への報告書であるため、正確に作成される必要があります。
正確な財務諸表をさくせいするため、会計帳簿は会社の日々の取引を正確に反映しなければなりません。

会計帳簿の種類

経理業務では、日常の取引を記録する帳簿を「会計帳簿」と言います。会計帳簿には、「主要簿」「補助簿」がありますので、それらについてお伝えします。

会計帳簿のメイン「主要簿」

「主要簿」は、会計帳簿のメインとなるもので、複式簿記では作成が義務付けられています。「主要簿」には、「仕訳帳」と「総勘定元帳」の二つがありますので、次の通りお伝えします。

・「仕訳帳」とは
会社の取引を複式簿記により記録した帳簿のことです。勘定科目を用いて記録し、左側を借方、右側を貸方と呼び左右の金額は必ず一致します。

5/29 預金 〇〇 / 売上 〇〇

・「総勘定元帳」とは
仕訳帳から勘定科目ごとに金額を転記し作成した帳簿のことです。経理実務では、コンピュータ会計により会計帳簿を作成することが多く、転記作業を人手により行うことはほとんどありません。しかし、総勘定元帳の作成過程は、簿記の原理を理解するうえで大切なため、仕組みをよく理解しておきましょう。

会計帳簿のサブ「補助簿」

「主要簿」を補完する目的の会計帳簿を「補助簿」といいます。「補助簿」では特定の勘定科目の金額の動きと残高を把握することが可能で、例えば、現金出納帳や受取手形記入帳、売掛金元帳などがあります。
なお、補助簿に記入する取引の証憑は必ず保管し、入力の元となる証拠はいつでも閲覧できるようにすることが経理実務では大切です。ここでは、代表的な補助簿を3つご紹介します。

・現金出納帳
現金出納帳には会社の現金取引を全て計上しているため、日々の現金の動きと残高を把握できます。現金出納帳は、会計帳簿の基本の位置づけとなり、会計監査では最初に記帳や残高が現金と一致しているか、調査の対象となります。

・受取手形記入帳
受取手形を受け取った際、受取手形の情報を記入する補助簿です。この補助簿には、振出人や期日などを記載します。受取手形は、特に期日や裏書の情報などに注意しなければなりません。
外部との取引の情報が中心となり、期日遅れになると銀行取引ができなくなる可能性があるため、担当と責任者のダブルチェックを行いミスの内容に管理します。

・売掛金元帳
得意先毎に売掛金の増減を記入した補助簿です。得意先の売掛金残高を確認できますので、入金管理や与信管理にも利用できます。特に入金サイトの長い取引先の売掛金が増大してくると、資金繰りを圧迫するため、入金サイトも視野に入れ各得意先の売掛金残高をチェックするとよいでしょう。

会計帳簿作成時のポイントと注意点

会計帳簿作成は経理業務の要ともいえます。会社の日常取引を記録し計上することから開始し、税金の計算や財務諸表の作成につながります。ここでは会計帳簿作成時のポイントと注意点をご紹介します。

会計帳簿の大切さを認識する

まず経理担当者は会計業簿の大切さの認識を持つことが大切です。会計帳簿が適正に作成されていないと、会社のお金の使い道や残高が把握できなくなります。さらに、法人税や消費税などの計算にも必要で、株主に報告する財務諸表も正確でなければなりません。

会計帳簿にはダブル・トリプルチェックを

会計帳簿に間違いの無いことが必要な理由は、先に述べた通りですが、日常から間違いを見つけるためにダブル・トリプルチェックを行い、正しいとの確認が出来て会計帳簿の作成終了とする仕事の流れを作りましょう。
経理実務では、担当者と責任者間でのチェックは必ず行います。円滑なコミュニケーションをとり、ダブル・トリプルチェックすることをおすすめします。

会計帳簿の元始証憑は必ず保管

会計帳簿を作成後、各取引の詳細を求められることがあります。特に、計上日の違いや相手先の計上ミスなどにより、取引先との帳簿残高が一致しないことが経理実務では発生します。
そのため、会計帳簿を作成する素となる元始証憑は必ず保管し、いつでも閲覧できるようにしましょう。なお、条件がそろえば電子データとしても保管可能なため、クラウドや自社サーバーに保管しておくと書類もかさばらず便利です。

まとめ

会計帳簿を正しく作成して、会社の経営状況を正しく把握できるようにしましょう。