紙文化が根付く経理部門をペーパーレス化するには?

経理

他の部門に比べ、紙の書類でのやり取りが多い経理部門。業務効率化や働き方改革でITを駆使する部門が増えてきていますが、経理部門はペーパーレス化が可能なのでしょうか?今回は経理部門のペーパーレス化を実現するためのポイントをお伝えいたします。

経理がペーパーレス化をする意義

会社の部門のなかで、経理は紙ベースで仕事をすすめることが多い部門です。電子帳簿保存法が改訂され経理のペーパーレスは進めやすくなりました。ここでは経理がペーパーレス化をする意義についてお伝えします。

電子帳簿保存法の改訂

まず、ペーパーレス化について、電子帳簿保存法の改訂について説明します。この法律は、紙ベースから電子データ化を推進する法律で、国税関係の帳簿書類の電子データ保存制度を創設しています。2017年よりスマホでの領収書の電子化が可能になったため、電子データ保存の件数も増えています。

働き方改革の一環

コロナの影響による社会情勢の変化に伴い、出社を伴う紙ベースの経理業務の見直しが必要です。紙ベースの仕事では、原本確認と証票保管が必要なため、会社に出社して書類の整理をしなければなりません。紙ベースの仕事を見直すことにより、業務効率をアップし出社の頻度を減らせます。会社に出社する必要のない、在宅ワークを推奨する働き方改革の一環として、経理のペーパーレス化が求められています。

経理の人件費削減

経理業務を行うためには、会社の事業所ごとに担当者を配置する必要があります。経理担当者は事業所ごとに紙ベースの仕事を行うことが一般的です。経理部門は間接部門のため、収益に直接貢献せず、経理部門の業務を減らすとコストの削減につながります。

経理部門におけるペーパーレス化の課題

経理部門はペーパーレス化が可能ですが、施策を誤ると逆に業務の乱れにつながる可能性があります。ここでは経理部門のペーパーレス化の課題についてお伝えします。

ペーパーレス化に抵抗を持つ社員がいる

経理の担当者のなかには、数十年の実務経験を持つ社員もいます。従来の紙ベースの仕事をしてきた社員が、ペーパーレス化による電子データに抵抗を持つケースもあります。ペーパーレス化を推進するには、電子データに抵抗を持つ社員を説得し、複雑な処理をなくし仕事しやすくする配慮が必要です。

電子データを扱うシステムにコストがかかる

ペーパーレス化をすすめるため、経費精算システムを導入する際にはコストがかかります。ソフトウエアやハードウエアに加え、社員に対する教育研修も必要です。電子機器のほか社員に対して必要なコストも加味しておくことが大切です。

ペーパーレス化した際の業務フロー

ペーパーレス化により、経理の業務フローも変わってきます。紙ベースの場合、書類に修正が必要な場合は、その書類を郵送返却し、再送で届いた書類の検証を行う必要があります。電子データですと、郵送する必要がなくオンラインで解決できるため、郵送に必要な数日の期間を省けます。また、経理の書類を書類箱にまとめ、書庫で保管留守必要もありません。このように業務フローが変わってくるため、社内ルールの見直しや、新しいルールの共有などをしなければなりません。

ペーパーレス化を実現する方法・ツール

ここでは経理部門のペーパー化を実現する方法とツールをお伝えします。

書類を電子データで保存する

電子帳簿保存法に準じて書類を電子データ化すると、ペーパーレス化につながります。電子データ化するには別途手続きが必要ですが、各帳簿や伝票など、また外部からの領収証、さらに契約書もペーパーレス化できます。ただし、取引先の方針もあるため、双方納得のうえでペーパーレス化をすすめることをおすすめします。

経理書類をWeb発行に切り替える

経理業務では、納品書や請求書を紙でやりとりすることが多いです。経理に関するシステムをWeb発行に切り替えると、インターネットで納品書や請求書を送付出来ますので、郵送の手間や紙の書類発行に係る業務の手間を省けます。

経理処理をペーパーレス化するシステムを導入する

毎月の給与明細や紙のタイムカードなどの経理処理を行うシステムを廃止し、ペーパーレス化に対応したシステムを導入します。この方法ですと、印刷や紙への打刻の必要がなくなります。

クラウドサービスを利用する

クラウドサービスを利用すると、大量のデータを社外に保管できます。そのため、社内でハードウエアを購入しメンテする必要がありませんので業務効率を図れます。なお、クラウドサービスを利用する際は、セキュリティ対策も必要となりますので注意が必要です。

まとめ

紙でのやり取りになれていると、どうしてもペーパーレス化した際の業務フローや社員とのやり取りに不安があるかもしれません。しかし、それを補って余りあるほどのメリットがあるので、働き方改革の一環としてできる部分からペーパーレス化に取り組んでみてはいかがでしょうか?