経理部門でテレワークの導入が進まない理由と解決策とは?

経理

新型コロナウイルスにより急速に進んだテレワーク。しかし、経理部門のテレワークは他の部門と比べてあまり進んでいないとされています。今回は経理部門のテレワークの実態とテレワークの導入を阻んでいる原因についてお伝えいたします。

経理部門のテレワーク導入率

コロナの流行で「リモートワークが定番」という考えが広まっていますが、実際にどれくらいの企業が導入しているのでしょうか?

国土交通省が行なった「平成29年度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-」では次のようなデータが出ています。
・経理部門含む「事務職」のテレワーク導入率 → 10.9%

管理職では約33%、営業職でも約29%とテレワーク導入が進んでいるものの、経理部門でのテレワーク導入率は高くありません。

職種別でも情報通信業や金融・保険業ではテレワーク導入率が40%を超える中、経理部門を含んだ事務職ではおよそ1割しかテレワークに移行していません。
テレワーク導入企業でも、事務職の社員はほとんどが出勤せざるを得ないのが現状なのです。

経理部門のテレワーク導入を阻む原因

他職種ではテレワーク導入率があがる中、なぜ経理部門ではおよそ1割ほどなのでしょうか?
経理部門のテレワーク導入を阻む原因は、取り扱う業務にありました。

ペーパーレス化が進んでいない

経理をはじめとした事務職では紙文化が根強く残っています。
領収書や請求書、各種伝票などオフィスでなければ処理できない状態が、経理部門のテレワーク導入を阻んでいるケースは少なくありません。
政府も電子帳簿保存法改正に意欲的ですが、先進国と比較すれば電子化の歩みはゆっくりです。
書類の受け渡しや記入、保管といったワークフロー業務が多い経理部門ならではの理由でしょう。

根強く残るハンコ文化

2020年の秋、規制改革担当大臣の河野太郎氏が押印廃止をあっという間に推し進めました。
その結果、行政手続きのおよそ9割で押印が廃止される結果となりました。

ただ、この押印廃止が全ての企業で導入されているわけではありません。
現在でも多数企業の経理部門ではハンコがなければ業務がストップしてしまう書類・手続きが多いのも事実。
電子印鑑を導入して電子決済化を進めている業務も少なからずありますが、経理部門のテレワーク導入を阻む理由としても大きなポイントとなっています。

郵便物の受け取りやコミュニケーション環境が整っていない

テレワーク導入企業は、ビジネスチャットや通信環境整備に力を入れてテレワークを実施しています。
国もテレワーク導入への助成金を用意するなど、環境整備が重要であることは把握済み。

しかし、会社に届く郵便物や書類の受け取り・確認作業はテレワークでは行えません。
オンライン会議ツールで営業職の社員が打ち合わせできたとしても、経理部門の社員は出社しなければならない業務が多数あります。

また、会社にかかってくる電話の対応や来客対応など担っているケースもあり、テレワーク導入の助成金を利用しても、完全テレワークへ移行しづらいという経理部門ならではのデメリットが存在しているのです。

経理部門にテレワークを導入するためには?

テレワーク導入率が低い経理部門では、今後どのような対策を講じて導入率をあげていくべきなのか?

前述した「導入を阻む原因」への対策が必要となります。

ペーパーレス化の推進

領収書のペーパーレス化で有効なのは「法人用クレジットカードの導入」でしょう。
取引履歴も残り経費精算もスムーズになるというメリット付きなので、経理部門の大幅な業務効率化も図れます。

請求書や各種伝票も電子化が可能なので、取引先とのやりとりもビジネスチャットやメールで済みます。
すると、郵便でのやり取りも削減へ繋がるので、リモートワークの日数を増やせる可能性もあります。
経費申請も電子化を進めることで、上司からハンコをもらう・書類を提出する手間が省けます。
クラウド会計ソフトも組み合わせれば、毎月の決算や年に1回の決算業務もスムーズになるためペーパーレス化は積極的に進めるべきです。

ハンコ文化は電子印鑑や電子署名へシフト

河野大臣が行政手続きで推進した押印廃止の流れ。
企業でも電子印鑑や電子署名を導入することで、業務効率化とリモートワークを導入しやすい環境がより整います。

2020年の夏には国が電子署名の有効性を表明したことも、後押しになるでしょう。
書類や各種伝票、申請書等をペーパーレス化するなら、同時に電子印鑑・電子署名もセットで導入すると業務効率化も大幅にUPします。

大半のワークフローがネットワーク上の処理で済むようになり、リモートワークも導入しやすくなります。

オンラインツール導入で経理業務へ対応

ペーパーレス化や電子印鑑など導入し、社外・社内のやりとりをオンラインツールへシフトする。
前述した内容をオンラインツールで処理することで、経理部門のテレワーク導入率への貢献と作業効率化、2つのメリットがセットとなります。

オンラインツールではビジネスチャットやオンライン会議ツール、スケジュール管理やタスク管理機能など経理部門の業務をよりスムーズに進められる機能も豊富です。
ビジネスチャットの場合、コミュニケーションや情報伝達でも支障がなくむしろより円滑になる可能性が高まります。

経理部門のリモートワーク導入率をあげつつも作業効率を落とさないために、企業に最適なオンラインツール導入も活用するのがベストでしょう。

まとめ

経理部門の仕事は他の部門に比べてテレワークを導入しにくいですが、できるところから少しずつテレワークに切り替えて働きやすい環境を作っていきましょう。