上場企業が経理業務をアウトソーシングする目的とアウトソースする業務内容
経理
最近では、中小企業だけでなく上場している企業も経理アウトソーシングを利用しています。今回は上場企業が経理アウトソーシングを利用する背景やアウトソースできる業務、注意点などをお伝えいたします。
上場企業が経理をアウトソーシングする理由
上場企業の経理業務では中小企業より高度なスキルを求められます。ここでは上場企業が経理をアウトソーシングする理由をご紹介します。
日常の反復業務はスキルのストックになりにくい
経理業務は日次、月次、年次業務に分けることができます。会社の規模に関わらず、これらの時系列の区分で基本業務を回します。それらの業務は単調で反復作業が多く、慣れてしまえば担当者が業務の目的を理解せず機械的に処理することも可能です。
そのため経理の反復業務を行うだけでは、新しいスキルを身に付けることが難しくなります。特に上場企業は人数も多く法律の規制を受けるため、反復業務以上のスキルを求められます。高度なスキルを身に付けるには、反復業務を減らし考える業務を増やすことが必要です。
単調な経理業務の効率を図るため
上場企業では経理担当者のスキルアップを図るため、中小企業より単調な業務を減らさなければなりません。また経理部門は間接部門であるため経費削減の対象になることが多いです。
大規模な上場企業では経理業務の分業が出来ていますので、業務改善を仕事の目的とし単調な経理業務の効率を図ることが可能です。社内で経理の業務効率を図れれば、次は経理業務を外注化しさらに経費削減に取り組めます。
標準化が間接部門の人材育成につながる
反復業務が多い経理業務は標準化により経費削減につながります。標準化は仕事の内容を洗い出し、問題点を解決するスキルアップにつながります。そのため経理業務の標準化により間接部門である経理部署の人材育成につながります。
どんな業務をアウトソーシングしているのか?
ここでは経理業務を実務内容ごとに分類し、上場企業がどんな業務をアウトソーシングしているかお伝えします。
販売管理
経理の定型業務に請求書発行処理があります。請求書は正確なデータが入力してあれば、発行する処理は反復業務になるため標準化しやすくアウトソーシングを利用できます。
また入金処理では請求項目の自動消込をアウトソーシングできます。自動消込後は不一致項目のみを調べればよいので自社で労力をかける必要はありません。
さらに債権管理業務も標準化してアウトソーシング可能です。請求処理と入金処理が自動化できていれば、入金の遅延状況も把握できますし与信管理にもつながります。
仕入管理
仕入先とシステムを連動することで仕入管理の標準化ができアウトソーシング可能になります。上場企業には資金力があるため、仕入システムを開発し仕入先に導入するケースを多く見受けます。
この方法ではデータ処理自体が不要でエラー処理が主な業務です。もし連動データにエラーがあれば、仕入先に問い合わせ、データ修正を仕入先で行うことが一般的です。
中小企業では資金面でデータ連動を行う余裕がない場合が多く、仕入先とのデータ連動は大規模な上場企業だから取り組める業務改善です。
固定資産管理
固定資産管理は管財業務と呼ばれ、上場企業では土地や建物のほか多くの資産を所有しています。固定資産の業務には減価償却費の計上があります。経理の実務では減価償却率は税法の定めにより計算し、計算方法もパターン化できていますのでアウトソーシングできます。発注側は固定資産が実在するか、損傷はないかなどを確認し、減価償却費は外注先で計上などのように分業可能です。
上場企業がアウトソーシングする際の注意点
上場企業は中小企業と異なり、より複雑な経理業務をしなければなりません。ここでは上場企業が経理業務をアウトソーシングする際の注意点をお伝えします。
経理業務の標準化が進み準備が出来上がっている
上場企業は大規模であるため、標準化が進まない内にアウトソーシングすると失敗したときの損失も大きくなります。そこでアウトソーシングできる準備が出来上がっていることを確認してから委託先を探します。標準化による業務マニュアルや必要人員を確認し、十分な準備が出来たうえでアウトソーシングすることが大切です。
アウトソーシング先は精度の高い業務ができるか
上場企業は決算短信や会社法の定めによる報告業務をしなければなりません。料金設定が低いアウトソーシング業者では、上場企業で必要な精度の高い業務に対応しているか不明な点があります。アウトソーシング先に上場企業の経理業務の実績があるのかが業者の選定基準になります。
まとめ
本稿では上場企業での経理アウトソーシングをご紹介しましたが、経理業務の基本は反復作業です。そのため会社の規模に関わらず、経理アウトソーシングを上手く活用することで、業務効率をさらに上げることができます。
自社の状況に合わせて、適切な業務をアウトソースしていきましょう。