年末調整後の還付金に4万円もの差が!?

会計

私は運送業を営む会社の経営者です。ここ数年、弊社では適齢期を迎え、結婚する社員が増えてきています。

昨年は入社4年目の同期社員2名がほぼ同時期に結婚、入籍をしました。しかし、そのときに年末調整のことで、意外なエピソードがあったことを思い出したのでお伝えします。

最初は経理担当者から伝え聞いたのですが、新婚社員のAがとても喜んでいたというのです。なぜかと尋ねると、「12月のお給料の手取りが通常よりも6万円ほども多い」と。そして「社長が結婚したお祝い金に給料を増やしてくれたのではないか?」と噂しているというのです。

身に覚えのない私はすぐに気が付きました。年末調整があったので、税金が還付されて手取り額が多くなったのだと。経理担当者にAの給与明細を確認したところ、やはり還付金によるものでしたが、一点腑に落ちないところがありました。

当然同時期に結婚した同期入社のBの給与明細も、A同様の年末調整がされています。確認したところ、Bの年末調整による還付金は2万円程度。給与はふたりとも全くの同額、同時期に入籍もしたはずなのに、なぜ年末調整の額に4万円も開きがでるのでしょうか。「新婚時代の4万円は大きいぞ!」と生活が苦しかった自分の新婚当初を思い出しながら、事の真相を顧問税理士に尋ねてみました。

社員Aの場合は、奥様が入籍前から花嫁修行でお仕事をされていなかったため、所得税の計算において【配偶者控除】という税金が軽減される制度が適用されていたのです。

それに対して社員Bの奥様は、キャリアウーマンで結婚後も継続して働くため、入籍をしても【配偶者控除】の要件を満たさない。

この【配偶者控除】という制度を受けることができるか否かは、【配偶者の有無】に加えて、【配偶者の収入】が基準になるとのことでした。

なるほど社員Aは今まで、【配偶者控除】が適用されない前提で、毎月の手取り額が計算されていました。しかし、【配偶者控除】を受けて計算し直したところ、年間で支払っていた所得税が多かった分、還付金も多かったわけです。

それに対して社員Bは、結婚後も所得税の計算に影響がなかったため、還付金は例年通りだったというわけです。

【新婚ボーナス】は支給できませんでしたが、新婚社員2人には奥様を幸せにするために、これからも頑張ってほしいものです!