決算業務の目的とは?経理の流れを解説!
経理
12月や3月になるとよく耳にする「決算」という言葉ですが、その意味や目的などを理解している人はあまり多くないのではないのでしょうか?今回は「決算」の目的と流れについてお伝えいたします。
そもそも決算とは
決算は法律に定めのある手続きで、最大の目的は「会計期間内の取引をまとめて書類を作り会社の経営状態・財政状況を明示すること」です。会計期間や決算を行う月は企業それぞれ異なりますが、国内企業の多くは3月を決算期に設定しています。
その理由は、行政や公共機関、取引先と合わせるため、3月を卒業時期と設定している教育制度に合わせている(入社時期とのすり合わせ)、税法の改正は4月1日適用が多いためなどです。そして決算で重要となるのは「財務諸表の作成」で、会社法などに規定があります。企業は必ず決算を行わなければなりません。
決算業務とは
決算業務とは決算書の作成を完了させる業務で、決算業務を担う経理部門には正確性とスピードが求められます。法人税は決算日から2ヶ月以内、株主総会は決算日から3ヶ月以内となっており、決算業務の遅れが許されません。
経営サイドは、決算時期の経理部門を循環させるための知識とツール導入といった判断が必要です。
決算業務は月次決算、年次決算など2種類あります。
それぞれ詳しくお伝えします。
月次決算とは
月次決算は「月ごとで行う決算業務」です。月末の締め日に、年次決算と同じ処理で行われます。
会計処理のミスを早期発見できる、仕訳の精度が高まる、節税対策や予算修正の判断スピードと精度が上がる、などのメリットがあるので、取り入れるのがベストです。
年次決算のみと比較すると、月次決算は1ヶ月分の会計処理なので業務量の差は明らかです。経理部門にとっても年次決算の負担が大幅軽減されますし、金融機関との融資相談も迅速に対応可能となります。タイムリーな資金計画は企業成長にも繋がり、経営者としての判断材料ともなる重要なプロセスなのです。
年次決算とは
年次決算は「年に1度行う決算」です。別名「財務諸表」とも呼ばれる決算書を作成する業務で、株式会社は法律で義務付けられています。さらに、株主総会を終えた後は財務諸表の公告もあります。
経営状態や財政状況を年間でまとめる業務なので、経理部門にとっても年間の集大成といえるでしょう。この年次決算の精度とスピードを高めるためにも、月次決算や会計処理の効率化が重要であることを、経営者は把握しておかなければなりません。
決算手続きをする目的
決算手続きに必要な「決算書」の目的は、税務署など国の機関へ提出、法人税など税を計算し正しく申告・納付、監査役を経て株主総会へ提出の3つです。
これらの3つをもとに、決算手続きをする目的についてお伝えします。
会社法で定める決算書類を作成
決算書類の作成は、会社法で定められた義務です。
税務署など公共機関へ提出するのが決算手続きの目的の1つであり、決算書類を作らなければならない理由といえます。
「税金申告・納付の期限に間に合うように」という観点から、前述した精度とスピードが求められ、決算を終えた後も保存義務があります。
・会社法に関連する書類なら保存期間は10年
・法人税法に関連する書類なら保存期間は7年
書類の保存期間を終えるまでが決算手続きだと捉えましょう。
会社の経営状態を知り目標を明確にする
経営者にとって方針決定や変更、予算修正は重要な業務です。これらの判断材料にもなるのが財務諸表となります。
これまでの取引の状況や会社の経営状況や成績が可視化された書類なので、経営者にとって目標を明確にするための重要な情報が詰まった、必要不可欠な書類といえるでしょう。
利害関係者に会社の経営状態および経営成績の情報を提供
上場企業は、健全な経営であることや財政状況に問題がないことを株主へ提示して出資してもらわなければなりません。そのアピール要素の1つとなるのが決算書です。株主は決算書を読んでリターンを予測し、これからの出資について判断します。また、銀行も同じように決算書を融資するか否かの判断材料とします。
株主や銀行など利害関係者へ、経営状態や財政状況の状況を正しく伝えるためにも、決算業務ではミスが許されません。経営者は経理部門が担う決算業務にも注目する必要があるからです。中には融資が不要という会社もあるかもしれませんが納税にも関わる書類なので、正しくスピード感を持って作られた財務諸表が必要となります。
あなたの会社の経理部門は、精度とスピードを保つために責任感と正確さを持って決算業務を進めます。経営者としてあらゆるサポートを取り入れるべきなのです。
決算業務をする流れ
決算業務の流れは、会計帳簿の締切り、合計残高試算表の作成、財務諸表(決算書)の作成など、大きく3つに分けられます。
会計帳簿の締切り
会計帳簿の締切りでは貸借対照表と損益計算書を作成し、当期分の帳簿の締切りを行います。総勘定元帳の確定があってはじめて、次期帳簿への繰越や記入がスタートとなります。
ほとんどの企業の経理部門は手書き入力からエクセルソフト、そして現在は会計ソフトでの入力へと移り変わりました。計算ミスや入力漏れが大幅に削減し、計算もソフト側が行うことで精度とスピードが上がっています。
合計残高試算表の作成
会計帳簿を締め切った後に合計残高試算表を作成します。合計残高試算表は財務諸表ではないものの、会計帳簿の記載が正しいか確認できます。財務諸表作成の第一段階で、資産や収益を正しく把握するために必要です。
財務諸表の作成
会計帳簿を締め切り、合計残高試算表の作成後に財務諸表を作成します。財務諸表の書式は法令で定められているので、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書など重要な情報を記載していきます。
決算の集大成である財務諸表・決算書が完成するまでに、年間通してさまざまな業務が発生しています。
的確な方針決定・予算修正と正しい納税、資金繰りのためにも、経営者は経理部門の環境を整える必要があるのです。
1年間の総まとめで、経理部門にとっては大変な業務だとは思いますが、ミスなく乗り切りましょう。