経理業務の一つ「給与計算」の業務内容とポイントとは?

経理

経理で重要な業務の一つである「給与計算」。経理の知識だけでなく、人事・労務分野の知識も必要になります。そこで今回は、給与計算の基本的な内容とその流れ、業務で気を付けるべきポイントについてお伝えします。

経理における給与計算業務とは

ここでは経理における給与計算業務についてお伝えします。

経理で計算する給与の種類

給与には定期に支給する給与と臨時に支給する賞与、そして退職金などがあります。
定期に支給する給与は、固定支給の本俸、通勤手当、家族手当などと、変動支給の残業手当を加算して計算します。本俸、通勤手当、家族手当は会社の給与規程に定めがあり、労働基準法や税法で取り決めのある支給項目があります。該当期間で都度発生する変動支給の残業手当は、明確な計算根拠が必要です。
臨時に支給する賞与は法律で最低限の規制がなく支給するかは会社の自由です。支給する場合は給与規程にその旨の記載が求められます。また退職金は支給の義務がありませんが長期間で計算するので税金の規制に注意が必要です。

給与から控除される項目

給与からは所得税や住民税、そして社会保険料や雇用保険料などが控除されます。それらは各法律の規制を受けているため、法定控除と呼ぶことがあります。

所得税は毎月概算を徴収し年末調整で確定します。住民税は毎年6月~5月にかけて前年の所得などから計算した額を天引きします。天引きした地方税は毎月会社から地方公共団体に送金しますが、インターネットのeLTAXを利用すれば納税の手間が省けおすすめです。

社会保険料は加入団体に給与引きした額を送金します。雇用保険料は給与の金額に応じて積算で求めた額を給与引きします。他に社販で購入した場合など、会社の都合により給与引きすることもあります。

給与は正確に計算する

いずれも社員の生活に直結するため正確な計算が必要です。また法定控除は適正に計算しないと法律の罰則があるため間違いは許されません。

給与計算業務の流れ

ここでは毎月の給与計算の流れをお伝えします。

個人ごとの支給項目を整備

まず給与計算の基礎となる固定項目を整備します。固定項目は雇用契約に基づくもので給与規程に記載されています。給与計算には給与システムやタイムカードを利用したクラウドサービスなどを利用します。
給与計算では、個人ごとに項目や金額などが異なりますので一人ずつ確認します。新入社員は入社の都度、契約した額を登録し、定期昇給の場合は、同時期に対象者分をまとめて変更します。

また会社によっては年齢により昇給がストップし減額することもあるため注意が必要です。

社会保険料の給与引き設定

会社の加入団体で決定した社会保険料を給与引きします。加入団体により社会保険料の計算方法は異なりますので、詳しくは加入団体に確認してください。

労働保険料の給与引き設定

労働保険料は雇用保険料と労災保険料があります。雇用保険料は支給額に定められた率を乗じ給与引きします。労災保険料は会社負担ですので給与引きしません。

残業手当の計算

該当月で残業があった場合は、就業データで残業時間を計算し支給します。就業データは給与システムを連動していることが一般的で、残業時間に修正がある場合は就業データを修正し給与システムに連動します。

給与計算業務で気を付けるべきポイント

ここでは給与計算で気をつけるポイントをご紹介します。

計算ミスしない

計算ミスにより社員から訴訟を起こされる可能性があります。会社の信用問題にかかわり、訴訟に対応する労力は膨大です。また所得税や住民税、社会保険料などは法律の規制を受けるため罰則規定があります。

計算ミスを防ぐ方法

給与計算の元データを給与担当で計算する場合は計算ミスが発生しがちです。
計算ミスを防ぐにはダブルチェックが有効です。給与担当一人で業務を完結させない仕組み作りをおすすめします。

もし計算ミスした場合

計算ミスが発覚した場合は、給与計算部署の責任者に連絡し支給対象者へ連絡をとります。
給与計算は送金手続き後に計算ミスが発覚することが多く、修正が間に合わないことが多いです。計算ミスの対応は必ず責任者に連絡を取ってから行います。
法律に抵触していないか、修正した差額を給与とは別に口座に送金するのか、など責任者の判断により決定します。

正確に給与計算するためアウトソーシングを利用する

計算ミスを防ぐには経理代行などのアウトソーシングの利用をおすすめします。専門スタッフが給与計算しますので正確です。給与計算業務は、従業員の生活が関わる重要な業務です。負担も大きくミスが許されない業務ですが、注意すべき点をしっかりと押さえて業務にあたりましょう。